ポストモダン宣言  ― 亡命者の言葉を語ること ― (sonia_rykiel_2001版 )

現代は亡命の時代である。たとえ、自らの国、言語、性、アイデンティティーを知らない他者にはなれないとしても、

私たちは、常識というぬかるみを回避しながら、越境せざるを得ない。亡命とは、異端の一形式である。亡命には、家族、

国家、言語からの決別を伴うからである。

 言説、思想、存在の様々な働きを解体すること。この残酷で不遜な解体は、私たち異端者の作業である。そうした作業

には、不断の分析、警戒、破壊転覆の意志が必要とされる。亡命者は、あらゆる絆を断ち切る。亡命者自身を結びつける

絆すらも断ち切るのである。

 モダンな生活の周縁部を、想像してみよう。そうした空間では、各ジャンルは不明確となり、必然性は、偶然性に席を

ゆずる。意味は刻印されると同時に簒奪され、アイデンティティーは疑問に付される。サブスタンスを奪われた人類は、

亡命者として、苦渋に満ちた生活を余儀なくされる。

 周縁的な拠点、マージナルな領域。そこは、複数の物語が交錯する場である。物語は、多義的である。強制・抑圧し、

脅かし、矯正し、惜しみなく与え、蠱惑し、放逐する。こうした拠点では、唯一、究極、至高の存在などありえない。

私たちは、多様な権力の作用するモダンな空間の住人である。

 だからといって、私たちは、外部の最高の敵に抵抗したり、闘争を挑むわけではない。マージナルでモダンな領域では、

内部と外部は明確に画定されず、意味は疑われ、同一性や共同体も不確実である。非決定、暗闇、無秩序、混乱、非合理、

統治不可能、恐怖、アナーキー。

 したがって、私たちの目的は、ある視座を宣言し、公言することではない。私たちは、震える声、いぶかしむ声、自信

のない声で語る。アナーキーなものの豊饒を信じる。意味の交差する多義的な体験の物語を紡ぎだす。茫漠とした空間へ

スクラッチを残す実験的な試みを企んでいる。

 私たちは、外部の巨大な殿堂を襲撃し、陥落させようと叫ばない。マージナルな領域から聞こえてくる、かき消された

叫びに、注意深く耳を傾けるだけである。私たちは、知の網状組織の共生を祝福したい。私たちは、創発的な思考空間の

誕生を祝福したい。そして、何より、陽動的な亡命者・横断する異端者の誕生をここに祝福したいのである。
2003年3月20日(木) 午前6時34分のソニアさんの投稿より
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  by ponkenblog | 2004-07-24 11:00 | introduction

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